6月1日より、35周年に入りました。私は、10人くらいの優秀な選手を自分で育て上げ、「オリンピックのメインポールに日の丸」を掲げたいという夢を持ってバディを創立しました。
しかし、現実はそんな理想通りにはいきません。35周年を迎え、理想に届きそうな片鱗を見せる選手は出てきましたが、なかなか実現するかどうかはわかりません。それでも、この仕事を一生の仕事としてやってきて良かったと思っています。それぞれの道で輝く卒園・卒団生を見ていると、自分自身にエネルギーが湧いてきて、もうひと頑張りしようと若返ることができるからです。
昨年、卒園生の川内優輝が、アジア大会でマラソン銅メダルを獲得し、テレビの前で大興奮しました。武藤嘉紀がサッカー日本代表に選ばれ得点を挙げたシーンを横浜スタジアムで見ることもできました。横山太一が漫画で少年ジャンプNEXTに登場したので初めて漫画を買って読みました。
陸上部出身の土屋太鳳がNHKの朝ドラのヒロイン「まれ」に選出され、今年の4月からは良くテレビを見ております。その他、女子サッカー部出身の横山純子が、フットサル女子日本代表に選ばれる等、子供達の活躍が急に目立つようになりました。スポーツ面だけでなく、東大をはじめとする国公立や早慶はじめとする有名私立大学に進学した子供達が実に多く、「学ぶ」の面でも頑張り、「文武両道」を地でいってることが、嬉しい限りです。
今年に入っても、奥埜博亮と武藤嘉紀のJリーグ一部のゲームで、教え子FW対決がありました。FW武藤香嘉紀・МF三田啓貴・DF丸山祐市が先発でそろってJ1のピッチに同じチームで立ちました。まるで筋書通りの子供達の活躍を楽しんでいます。昔の人は、「三つ子の魂百まで」と上手いことを言ったものだと感心しております。
バディの卒園生は、どこの幼稚園の園児よりも、幼児期に辛く苦しい経験を仲間と励ましあいながら自分の力で乗り切っていると思います。30周年の記念誌に、当時高校生だった武藤嘉紀はこう書いております。「現在、僕が肉体的にも精神的にも安定した日々を送ることができているのは、バディ時代に培われた体力が全ての原点になっていると思います。
僕にとりましたら、この園長先生の走りは耐え難いほど辛く、また子供にここまで走らせるのかと幼いながらも考えておりました。しかし、この走りのお陰で最後まで諦めない根性や誰にも負けたくないという闘争心が芽生えたのではないかと思います。」このほかにも、幼少期のいろいろな練習や吹雪の中のスキーキャンプ等が想像以上に辛かったことを多くの子供達が語っております。
しかし、口々に「二度とあのような辛い経験はやりたくないけれど、いい経験ができて自信になった」と言っております。実際、ギリギリまで子供達を追い込み、成功体験を与える場所は、バディ以外の教育機関ではないかもしれません。社会の反応を伺い、可もなく不可もない教育を目指すので、殆んど皆無ではないでしょうか。時には優劣がつき、又ある時は仲間同士が励まし合う、こうして揉まれながらも、仲間と協力しながら成長していくことは、社会へ出れば当たり前です。
しかし、こういう教育を受けていない子供達が多いのが気になります。他の幼稚園で幼児期を過ごした子供達が、小学生になってバディに通う子供も多いのですが、技術やフィジカルは変わりないのですが、メンタル面で折れてしまう子供が多いのには驚きます。
しかし、やがて力を付けてくるとバディ魂を身に付けて友情の中に包まれていきます。保護者の方々も、敢えて辛い中に自分の子供を放り込めないようですが、実際は、自分で自分の子供を教育するのは難しいので、他人に教育を委ねなければなりません。昔は、地震、雷、火事、親爺と言って、近所に必ず怖いオジサンがいました。そのオジサンに叱られ、素晴らしい両親や家族のことを目標にするように諭され、謝るまで許してくれませんでした。謝っても、口で誤っただけでは許してもらえず、辛い経験をして許してもらうこともありました。
今では、近所にそんなオジサンはいなくなりました。バディは、これからもそんなオジサン的役割を果たして、子供達に両親を目標とするような「真の優しさの力」を付けさせたいと思います。次の5年間に、どんな夢を子供達がもたらしてくれるか、今から楽しみです。